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高良 健吾 87年、熊本県出身。06年の『ハリヨの夏』にて映画デビュー。07年には『M』で第19回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門特別賞を受賞し、その後、数々の賞を受賞。『軽蔑』(12)では、第35回日本アカデミー賞新人俳優賞、第26回高崎映画祭最優秀主演男優賞を受賞、そして今年の第36回日本アカデミー賞でも『苦役列車』(12)で優秀助演男優賞を受賞している。2013年は本作の他、『きいろいゾウ』、『千年の愉楽』、『県庁おもてなし課』、『武士の献立』(冬公開)などが公開予定。

目の前のことを素直に反応できる世之介が魅力的!!観た人が得した気分になれる映画ですね。

長崎県の港町から大学進学のため上京した主人公・横道世之介と彼に関わった人たちの青春を描いた小説『横道世之介』が豪華キャストにて待望の映画化!! どこか図々しくも、人の頼みは断れないお人好しな世之介を演じたのは高良健吾さん。そしてガールフレンドの祥子には吉高由里子さんがキャスティングされた。今回、沖田修一監督作品4作目にして初主演となった高良健吾さんに作品に対する思いを熱く語っていただきました。

―沖田監督は原作を読んだ際に、主人公・横道世之介には高良さんがピッタリだと思ったということですが、今回の主人公に白羽の矢が立った感想を教えてください。

嬉しかったです。自分が役を選んでいる訳では無くて、役に自分が選ばれているなと常に感じているし、そう思っていたいです。沖田監督が横道世之介役に自分を想い浮かべてくれたことは本当に嬉しかったです。5年前に沖田監督と会っていなければ、ありえないことだし、横道世之介のような役が自分に来るっていうのは沖田監督でなければ無かったとも思います。

―脚本を読んだ時、横道世之介という人物についてどのような印象を持たれましたか?

何で、世之介って人に好かれるのかなぁって考えたら、目の前に起きていることに対して素直に反応するからだと思うんです。出来事だったり、人に対してだったり、そこに色眼鏡は無く、ちゃんと世之介なりの関わり方をしていると思うんです。ボートピープルの出来事が、世之介の世界がちょっと変わった瞬間だったと思うんです。ずっと目の前に起きている半径が狭い視界だったのに、すごく広くなって。あの経験が無いとカメラマンにもならなかっただろうと思います。カメラマンの室田さんと出会い、写真展に行って何かを感じた。そういったことに素直に反応できるから皆に好かれる。それが魅力なんだろうなって思いますね。

―脚本を読んだ時にいいなって思ったシーンがあったということですが、具体的にどこですか?

いいなって思えるシーンだらけ、面白いなって思えるシーンだらけですね。それは僕が勝手に台本を読んで感じることだし、皆がそこで笑うか分からない。ただ確実に面白いと思ってもらえるシーンはたくさんあると思います。そこで、観ていただく方に僕が提示するのは嫌なんです。この役を半径の狭いところでやりたい、つまり全部カメラの手前でいろんなことが終わればいいと思っているんです。観客だったり、カメラだったり、監督を意識する芝居っていうのは、この作品ではしたくなかった。自分が元々好きではないから、技でやらないっていうか、不器用でもヘタでもそこに居るってことがしたかったんです。いくらでもこの作品は、笑える映画にできると思うんです。でも、それを狙ってやったら僕はダメな気がして。世之介がただそこで反応していることじゃないと、目立ったら嫌らしい役になってしまうし、ただのコメディにはしたくないと思いますから。

―今回の横道世之介役は、のんびりとして優しさ溢れる役だと思いますが、これまでやって来た役づくりと今回とで変わったことはありますか?

どの役も自分では、”自分だな“って思っています。役の切り替えっていうのも実際よく分からない。その役に成りきっているかって言うと必ず自分が出ているし、でも自分が出てもいいんだろうなって今は思えるんです。ただ、今回の現場で大切にしていたことは、半径が狭いこと。脚本を読んで面白いな、いいなって思った部分って面白くできるし、面白くやれると思うけど、狙ってやっている感っていうのがすごく自分は嫌いだから、カメラの前で全てが終わりたいと思ってやりました。

―役づくりで苦労したところや大変だったところはありますか。

そんな、無いんですよね。苦労したことや大変だったことって、あんま覚えてないんですよ。それを含めて現場だし、あたり前に大変なことはあるから、現場は楽しかったです。

―横道世之介を演じられてみて、横道世之介と高良さん、似ている部分や共通点はありますか?

自分の中で世之介を消化しながら演じていくので当然自分がやる上で、自分に似ている部分はあると思うし、きっと自分の中で共感できる部分や理解できる範囲でやっていると思うんです。続き

だから似ている部分も、似ていない部分もある。世之介は自分の中では世之介でしかないけれども、自分が演じたことで僕でもあります。だからこそ、言えるのは世之介の生き方っていうのはレベルが高いなって思えますね。世之介って、普通だったら難しいことも普通にやっているから、普通に見えるけどそれは普通じゃないって思うんです。

―今回、親友の倉持一平を演じた池松壮亮さんとは初共演となったわけですが、共演されてみていかがでしたか?

池松さんが出演している作品を観て、すごい役者さんだなって思っていたので、今回共演が決まった時はすごく楽しみだったんです。実際、共演してみたら楽しかったです。池松さんが演じている倉持がいるからこそ、世之介が活きている感じがしました。

―現場での雰囲気はいかがでしたか?

すごく明るい雰囲気でした。もちろん、本番中はピリッとはしていましたが沖田監督の人柄なのか、現場は和やかでした。

―撮影中の印象深いエピソードがあれば教えてください。

結構たくさんあって。台本には書いてないようなことがたくさん起こる現場だったから、いろいろありました。

―劇中ではサンバを踊るシーンもあったんですが、練習されたんですか?

しました。って言っても、何回かです。

―2時間40分。通常の映画に比べると上映時間が長い作品ですが。

2時間40分は、長く感じなかったです。2時間で収めたら長いっていう意見は無くなると思うけど、もっとうすっぺらい作品になってしまうと思うし、2時間40分あるからこそ、この映画ができたんだと思うんです。やっぱり人の人生を語るには…。

―今回、恋人役を演じられた吉高由里子さんとは、『蛇にピアス』以来5年ぶりとなる共演でしたが、久しぶりに共演されていかがでしたか?

吉高さんとは、今回はいろいろと話ができました。印象的なシーンだと、キスシーンとか。あの長回しは痺れましたね。クレーンがあって、あのシーンをワンカットでいくって聞いた時は驚きました。普通だったら、あのシーンはカメラで寄りで撮影すると思うんです。世之介と祥子ちゃんの表情を撮るために、絶対寄りたくなると思う。でも沖田監督はガンガン引いていくんです。だからこそ、観る人の想像力が増すと思います。映画として観たら、あのシーンは絶対に活きていると思うんです。そして観ている人が本当に2人を覗いている気持ちになれると思います。

―完成した作品を観た時の感想は?

最初に観た時は、反省しかないです。でも、いつも思うのが、「あの時、そうしたかったんだよね」。その瞬間は精一杯やったわけだからと思うんです。現場で一生懸命やった感情だから、反省はするけど、後悔は全くないです。自分がやりたいと思っていた半径が狭い芝居、そこでいろいろなことを終わらせる芝居ができたかなって思える。

―最後に読者へ一言お願いします。

劇場でしか、味わえないこの『横道世之介』があると思います。人それぞれ、笑うところも違うと思います。きっと、観てない人よりも観た人の方が、得した気分になれる映画だと思いますので、ぜひ、劇場まで足を運んでください。

映画『横道世之介』 第23回柴田錬三郎賞や2010年本屋大賞3位を受賞した“青春小説の金字塔”と呼ばれる、吉田修一の同名小説を、沖田修一監督が映画化。長崎育ちの横道世之介は大学進学ために上京し、そこでお嬢様育ちのガールフレンド・祥子や同級生の倉持、加藤、そして謎めいた年上の女性・千春などに出会う。不器用ながらも真っ直ぐに生きる世之介の姿は、15年後もそれぞれの記憶に残る―。優しさとユーモアにとんだ演出で描いた心温まる作品の誕生。監督:沖田修一 出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮 他 配給:ショウゲート

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