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薬師丸 ひろ子(やくしまる ひろこ) 64年6月、東京都生まれ。80年代から、「角川三人娘」と呼ばれ角川映画の看板女優として活躍。その後、女優だけでなく歌手としても活躍。『ALWAYS三丁目の夕日』では日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。11年主演映画『わさお』では、主題歌『僕の宝物』を自らが担当し話題となった。 山崎 貴(やまざき たかし) 64年6月、長野県生まれ。阿佐ヶ谷美術専門学校を卒業後、特撮スタジオ株式会社白組に入社。00年に『ジュブナイル Juvenile』で監督デビューを果たし、05年の『ALWAYS三丁目の夕日』では各映画賞を多数受賞。その後も話題作を送り出す、日本を代表するトップクリエイターである。

山崎 貴 監督×薬師丸 ひろ子 ひどい目に合いながらも一生懸命頑張って、最後には幸せになって欲しい!!

前作『ALWAYS 続・三丁目の夕日』から5年経った昭和39年(1964年)を描いた3作目『ALWAYS 三丁目の夕日’64』がついに公開!!今回は、東京オリンピックや新幹線開通に沸く夕日町三丁目とその住民たちの姿を、シリーズ初となる3D映像で映し出す。前2作に引き続きメガホンを取った山崎貴監督と働きもので、夫のいたらない面を陰となり支える鈴木トモエ役を演じた薬師丸ひろ子さんに、お話を伺いました。

―本作がALWAYSの3作目となりますが、作品をご覧になった感想をお聞かせください。

監督 作っている最中、何度も何度も観ているので、いいか悪いのか分からなくなってしまうんですけど、ただ、その状態で観ながらも何箇所か気持ちがグググッとくるシーンがあったので、多分いい作品になっているのではと思っています。ちなみに先日、5年ぶりぐらいに1作目を観たんですけど、ようやく素で観ることができ、「結構面白いじゃん」って思えるようになりました(笑)。

薬師丸 1作、2作目と最後に鈴木家、茶川家のファミリーがのんびり夕日を見てつぶやくシーンがあるんですけど、今回は明日何があるか分からないという漠然とした不安な気持ちを抱えて生きていく中で、「この夕日がいつもまでも綺麗だといいわね」という、その言葉が私自身にもすごく深く響きました。そして、三丁目の住人が、本気で笑って、泣いて、喧嘩して、そんなことが本当に羨ましいなって思いました。何かあった時は皆で助けあって、生きていけるんだろうなって、自分たちが演じていて変なんですけど、とっても羨ましい思いで作品を観ていました。

―本作はこれまでと違い3Dでの上映となりますが、3Dに挑戦しようと思ったきっかけはありますか?

監督 エグゼクティブ・プロデューサーの阿部さんからやってみて、っていう感じてやることになったんですが、効果的には3Dにしてみて悪くなかったと思っています。テーマパーク的な側面のある映画ですし、思いがけないシーンで、意外と3Dが活きたなって思ったシーンがあります。薬師丸さんも好きだって言ってくれたシーンなんですけど、電車が走っているところにとんぼがいっぱい飛んでいて、観ていてウザかったんです。本当にいっぱい飛んいて、逆にその感じが懐かしかったんですよ。子どものころ、原っぱの空を埋め尽くすほどに、とんぼが飛んでいた時のウザさに似ていて、そういうところがよかったのかなって思いますね。

―薬師丸さん演じるトモエは、夫を支え、家族を温かく見守る良きお母さんですが、2作目と比べて、トモエを演じる上で心境の変化などはありましたか?

薬師丸 今回は、ボロボロに崩れていく旦那さんを初めて見たというか…。1作、2作目は、怪獣のごとく暴れん坊で、たくましい大黒柱という感じだったんですが、今回は六ちゃんが結婚を迎え、そして子どもが想像もしなかった反抗期に入ったということで、お父さんの立場というものも少し変わってきて、その中で、今までは家族としてのお父さんという役割だったのが、なんとなく自分の伴侶、夫としてトモエさんが旦那さんを見つめる時間がとっても長かったと思います。こんなに情が深くて、こんなことでも落ち込んでダメになってしまう旦那さんをどう立て直させるかということと、これから夫婦の時間が始まるということの中でトモエさんの役割というものが、1作、2作目に比べたら変わってきているなっていう風に思いました。

―『ALWAYS 続・三丁目の夕日』に続く、昭和の東京を舞台にしたヒューマン・ドラマの第3弾となる本作。監督がこだわった点はどういうところですか?

監督 1作目、2作目を通して思うことは“幸せ”を探している映画だなっていう点です。登場人物には、みんな幸せになって欲しいけど、簡単に幸せにしない方がいいかなって。幸せって簡単に手に入るものじゃないし、ひどい目に合いながらも一生懸命頑張って、それでも最後には幸せになって欲しいなって思いながら作りました。シナリオを作る段階ではいろいろ大変でしたけど、出来上がったら、演者さんがそれぞれのキャラクターをよく分かっていらっしゃるので、それに委ねて安心して撮影ができました。もちろん大変なこともあり、難しいシーンは緊張したりもするんですけど、基本的には皆さまが活き活きと動いているのを、ドキュメンタリーを撮るように撮らせていただきました。何を乗り越えさせていくのかということに、すごく気を使いました。続き

―監督と薬師丸さんは共に64年生まれということで、このころの時代の移り変わりを肌で感じてこられたと思いますが、今回の映画を通じて、感じるものはありましたか?

薬師丸 映画が出来て思ったのが“憧れ”ということです。憧れるほどキラキラとしたものがあり、時代の高揚感というか、オリンピックが東京であるとか、新幹線が開通したとか、この先どんなことがあるんだろうかっていう、一つの登りつめた頂点の時代が64年だったように演じていて思いました。私の実家の側には国立競技場があり、両親に聞くと歓声が家からでも聞こえていたそうです。私は6月生まれで、オリンピックの開催が10月だったんですが、家の近くの通りでオリンピックの記念なのか写真を撮ったんです。私自身、記憶があるはずもないのに、4ヶ月の私の中にその時の記憶があるんですね。姉のひざに乗せられて、そのひざからズリ落ちそうで恐い思いをしたということとか、写真を撮るまでの光景だとかを何となく覚えているという不思議な記憶です。その年に生まれたということで私より年配の方は、「オリンピックの年に生まれたんですね」と分かっていただけ、この誇らしい感じ、自分がオリンピックを開催した訳でもないのに(笑)。
実際、この64年をやりたいと言い出したのは私だということになっていて、それが実現したということで、これを面白いと思った皆さまにはぜひ、私に一票を入れていただけたら、次もあるのではないかと思います。

監督 実はクラスで「僕はオリンピックの年に生まれたんです」って言ったことがあって、そしたら、教室中、「俺も、俺も」ってなったことがあったんですよ(笑)。そんな自慢をしたことがあるくらい、大きなことでしたね。もちろん、生まれた年ということもありますが、この作品を通して皆さんが自分の記憶と重ね合わせていただけているようで、オリンピックの年となるとすごく良く覚えていらっしゃるので、観ていただいた方がこの年ってこうだったよねってなると思うんですよね。そのことを一つ取っても、1964年を舞台にした意味がもう一つ強くなったなって思いがあります。観ていただいた後に、「うちはこうだった」と思い出していただけると嬉しいですね。

―前作の『ALWAYS 続・三丁目の夕日』から5年ぶりとなる『ALWAYS 三丁目の夕日‘64』ですが、久しぶりの撮影はいかがでしたか?

薬師丸 前作から撮影は4年の月日が経ち、私自身はその間いろいろな仕事をして過ごしていたんですが、久しぶりに現場に戻った時、私のもう一人の分身が、三丁目の夕日町、あの架空の町の中に存在し生活していたんじゃないかなって、錯覚にとらわれるくらい、とても生活のにおいを感じました。しかも、私と違ってトモエさんはまめに家の前をよく掃いて、食台を拭いて、ホコリを叩いて、そうやって家も守ってきた鈴木オートに久しぶりに私が帰って、そこでずっと寝起きしていたような錯覚を覚えるほどでした。三丁目の夕日町のセットというのは、たとえば私がここでミシンをかけようとか、料理をやってみようかなと思ったらなんでも叶うようなくらいすべてが揃っているんです。それは町並みの八百屋さんにしても、野菜が奥までズラリと並び、夏と冬では野菜が入れ替わり、そういうスタッフの隅々までの細かい配慮が演じる者をその気にさせてくれるんだと思います。

―最後に一言お願いします。

薬師丸 『ALWAYS 三丁目の夕日‘64』がようやく完成しました。64年というのは、私、監督、共演の堤さん、温水さんが生れた年です。私は、生れた年ですので記憶はないんですが、「何年生れですか?」と聞かれたりする時に、「オリンピックの年、新幹線が開通した年です」と答えるといつも、どこかで誇らしい気持ちを感じていました。そんな、自分が生れながら、記憶の無い時代を映画を通して体験することができたことは、楽しいことでしたし、素晴らしい時間を過ごさせていただきました。そして、とってもステキな映画ができたと思っております。ぜひ、劇場で楽しんでください。

映画「ALWAYS 三丁目の夕日’64」 ●全国東宝系公開中!! 昭和39年(1964年)、東京オリンピックが開催されるこの年。オリンピックに沸く中、夕日町三丁目はいつものように個性豊かな住民たちが暮らしていた。小説家の茶川(吉岡秀隆)は間もなく新しい家族を迎えようとしており、鈴木オートの則文(堤真一)も事業を軌道に乗せており、そんな中、転機を迎える人も―。監督・VFX:山崎貴 出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、薬師丸ひろ子 他 配給:東宝

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